判断のための解説
承認の範囲を、実行の前にそろえる
提案、検証、承認、実行を区別し、何を決めたのかを後から説明できる形にする。

01
「進めてよい」は、どこまでを指すのか
方向性への賛成、予算の確保、契約条件の了承、公開や支払いの承認は、それぞれ異なる判断です。「進めてください」という言葉を、すべての工程への承認として受け取ると、説明した範囲と実行した範囲がずれることがあります。最初に、何を実行するための判断なのかを一文で示します。
承認を細かく増やすことが目的ではありません。影響が大きい、外部に伝わる、元へ戻しにくいといった行為について、判断に必要な情報をまとめて提示することが目的です。軽微な準備作業と、契約や公開のような次の段階を分ければ、無駄な確認も減らせます。
02
提案から実行までを四つに分ける
同じ担当者が複数の役割を担っても、それぞれの段階で何を確認したかは残せます。誰が承認できるかは、肩書きだけでなく組織の手続や当該案件の権限を確認します。
| 段階 | 行うこと | 残す証拠 |
|---|---|---|
| 提案 | 目的・対象・代替案を説明 | 対象と前提を含む案 |
| 確認 | 資料・条件・影響を点検 | 確認結果と未確認事項 |
| 承認 | 実行する範囲を決める | 版・範囲・条件・承認者 |
| 実行 | 承認範囲内で作業し結果を確かめる | 実施内容・結果・差異 |
03
利害関係と判断の役割を分ける
OECDの企業統治原則は、潜在的な利益相反の監視・管理や、報告・監督の責任を扱います。全企業に一つの組織形態を義務付けるという意味ではありませんが、提案する人の利益と、組織としての判断を区別するための着眼点になります。
報酬や紹介料がある場合、その事実だけで提案の良し悪しを決めるのではなく、判断に関係する利害を見えるようにします。何が開示され、誰が確認し、どの判断に影響するかを整理します。本稿は本人やEXAMの内部規程や実務を説明するものではありません。
04
仮想例:デザイン承認と公開承認
以下は説明用の仮想例です。ウェブサイトの新デザインに対して、色や配置が承認されたとします。しかし、料金表示と公開日には未確認事項があります。この場合、デザインへの承認を、未確認の料金や即時公開の承認へ広げないようにします。
承認した版と対象を記録し、公開に必要な条件を別に示します。条件がそろった場合の公開まであらかじめ承認されているなら、その条件の成立を確認して進めます。逆に、成立を確かめられなければ保留し、条件を満たしたことにして実行しません。
05
承認後の変更は、意味と影響で見分ける
誤字の修正と、価格・責任・対象範囲の変更は同じではありません。見た目が小さな差でも、意味や事実関係が変わることがあります。変更点を前後で示し、既存の承認範囲で扱えるかを確認します。新しい文章を古い承認で承認済みにすることは避けます。
判断する人が何度も同じ資料を読む状態にも注意します。変更されていない部分と変更部分を区別し、確認対象を絞る方が、承認の質を保ちやすくなります。承認記録には日時だけでなく、対象の版や参照資料を付けます。
06
条件付き承認は、条件の証拠まで残す
「検証に合格したら進める」という承認では、検証の対象、基準、結果を結び付けます。違う版の結果や、自動検査だけの結果を、必要な全確認が完了した証拠へ置き換えません。条件が複数ある場合は、未確認の一つを他の合格で埋めず、それぞれの状態を示します。この区別により、同じ承認を繰り返さずに、進めてよい範囲を確かめられます。
07
承認は、結果と結び付けて残す
実行後は、承認した内容と実施結果が一致するかを確かめます。異常や後発変更がある場合は、追加実行を止め、どの範囲を安全に戻せるかを検討します。承認の記録は責任を押し付ける道具ではなく、関係者が同じ範囲を理解して行動するための資料です。
出典・確認した範囲
- G20/OECD Principles of Corporate Governance 2023 · 確認日 2026-10-16企業統治の国際的な政策・実務指針。国別会社法や特定社の実態証明ではない。


